規格の層構造
タイヤの規格体系は単一の標準で成立しているわけではない。
制度上は大きく三層に分かれる。
国際標準
地域・業界標準
国内工業標準
それぞれの役割は異なる。
国際標準は概念と試験の共通化
地域規格は寸法と適合
国内規格は材料試験や測定法
という分担になっている。
主要な規格主体を並べると次のようになる。
ISO
UNECE
ETRTO
TRA
JATMA
JIS
同じタイヤ規格と呼ばれていても、実際には扱う内容が違う。
寸法規格
地域団体による寸法標準
タイヤの寸法体系は主に地域団体が管理している。
ETRTO
欧州タイヤ・リム技術機構
欧州で使用されるタイヤ寸法の基準
TRA
米国タイヤ・リム協会
北米のインチ系サイズを中心とした規格
JATMA
日本自動車タイヤ協会
日本市場の寸法、荷重、空気圧などを定義
代表的なサイズ表記
195/65R15
31×10.50R15
これらはISOではなく、ETRTO・TRA・JATMAの表によって定義されている。
設計実務では、これらの表に従って外径や許容荷重が決まる。
地域ごとに若干の差があるが、現在はETRTOとJATMAの整合性が高い。
試験規格
工業標準による試験方法
材料試験や性能評価は別の規格体系で管理される。
日本ではJISが中心になる。
代表例
ゴム物性試験
耐久試験
引張試験
硬度測定
これらはタイヤの寸法ではなく
材料評価
品質評価
試験方法
を規定している。
同様の役割を国際的にはISOが担う。
ISOは主に
用語
試験方法
測定手順
を統一するための規格である。
認証規制
車両規制との関係
タイヤが市場で販売されるためには、別の制度が関わる。
UNECEの車両規則。
代表的なもの
R30
乗用車タイヤ
R54
トラックタイヤ
R117
騒音・転がり抵抗
これらは寸法規格ではなく
安全認証
市場アクセス
の制度である。
つまりタイヤは
寸法規格
試験規格
認証規制
という三つの制度が重なって成立している。
規格の整理
実務上の整理は次のようになる。
ISO
試験方法や用語の国際標準
UNECE
車両安全規制と認証
ETRTO
欧州タイヤ寸法
TRA
北米タイヤ寸法
JATMA
日本タイヤ寸法
JIS
材料試験や工業試験
タイヤのサイズ表記、荷重指数、空気圧の表などはJATMAやETRTOが管理する。一方で材料試験やゴム物性はJISやISOの枠組みで整理される。さらに販売制度としてUNECEの規則が重なる。
タイヤ規格は一つの体系ではなく、複数の制度が役割分担して成立している。