前提
Tire and Rubber Recycling Podcast Episode 89
登壇者
Birla Carbon CEO
John Loudermilk
テーマ
回収カーボンブラック(recovered carbon black, rCB)の市場状況と用途拡大の条件。
議論の出発点として示された数字
・現在のrCB市場は世界カーボンブラック需要の1%以下
・長期的には約10%程度の市場を想定
短期的にはまだ小さい市場だが、2026年以降は年ごとの需要増が始まり、5年程度で成長カーブが急になるという見通しが示された。
市場拡大が遅れている理由
rCBの需要拡大は、当初予想より遅れているという認識が示されていた。
背景
・顧客は持続可能性より価格を優先
・アジアからの低価格タイヤとの競争
・景気環境によるコスト圧力
サステナビリティへの関心自体は長期的には存在するが、短期の購買判断は経済条件に左右されているという整理だった。
また数年前までは材料品質の問題も大きかった。
主な問題
・ロットごとの品質ばらつき
・供給の再現性
・顧客承認後の品質維持
顧客が試験導入しても、次の注文で同じ材料が届かない状況が存在していたという説明だった。
技術的なボトルネック
もう一つの重要な論点は、rCBが単純な熱分解生成物では製品にならないという点だった。
熱分解炉から出るのは
・pyrolysis char
この段階ではゴム用途やプラスチック用途で直接使える品質ではない。
そのため必要になる工程
・粉砕
・分級
・ペレット化
・ブレンド
これらは既存のカーボンブラック製造プロセスに近い下流処理であり、粒径、清浄度、均一性を整える役割を持つ。
Birla Carbonはイタリアの設備でこの工程を行い、顧客用途ごとに材料仕様を作ると説明されていた。
用途ごとの技術要求
rCBの用途は現在、比較的技術要求の低い分野に集中している。
現在の主用途
・低要求ゴム製品
・プラスチック
・簡易成形品
これをタイヤ、ベルト、ホースなどの高性能ゴム製品へ拡大することが市場成長の条件とされている。
一方で用途ごとに要求は大きく異なる。
例
地下水道パイプ
・数十年の耐久性
・水質安全性
・化学純度
プラスチック用途
・着色
・導電性
・UV安定化
これらは単一材料ではなく、バージンカーボンブラックとのブレンドで使われる場合もある。
製品ではなく配合の問題
議論の最後に強調されていた点
rCBは単体製品として販売される材料ではなく、配合問題として扱われる。
つまり
・用途ごとに性能要求が違う
・顧客ごとに配合が違う
・共同開発が必要
そのため
「材料を売る」より
「顧客配合を一緒に設計する」
という形になる。
タイヤ用途だけでは市場拡大は起こらない。
プラスチック、工業ゴム、その他材料用途への拡張が必要という整理。