NEDOプロジェクトの構造
海洋生分解性プラスチックの社会実装を目的としたNEDOプロジェクトが2020年度から2024年度まで実施されている。研究の中心は材料開発ではなく、生分解性の評価手法の確立に置かれている。
研究体制は産業技術総合研究所を中心に、NITE、大学、地方研究機関などが参加する構成となっている。実海域試験では海洋研究機構や公設試験研究機関が関与し、実際の海洋環境における分解挙動のデータ収集が進められている。
海洋生分解のNEDOプロジェクト及びISOの動向について
研究内容は次のような要素で構成される。
・実験室における加速生分解試験
・海洋実環境での分解データ取得
・材料構造と分解メカニズムの解析
・微生物や酵素による分解挙動の解析
・生態毒性評価
・導入による海洋プラスチック削減効果の推定
この研究の中心は、生分解性をどの条件でどのように評価するかという試験方法の確立である。
海洋生分解評価の技術課題
海洋生分解性の評価は単純な材料試験ではなく、環境条件に強く依存する。
主な影響要因
・海水中の微生物量
・温度
・海底環境
・試料形状
・試験期間
微生物量の違いは分解速度に直接影響するため、評価結果のばらつきの原因になる。海水サンプルの採取方法や保存条件によって微生物数が変化することも確認されている。
微生物量測定の主な方法
・コロニー形成数(CFU)
・リアルタイムPCR
・蛍光染色
これらの測定法の数値関係や再現性が研究課題として整理されている。
ISO標準化の動き
海洋生分解性プラスチックには既に複数のISO試験法が存在する。
例
・ISO18830
海底砂泥中での生分解評価
・ISO19679
海底砂泥中でのCO₂発生による評価
・ISO22766
実海域での崩壊試験
海洋生分解のNEDOプロジェクト及びISOの動向について
これらの規格は欧州主導で整備されたものが多い。
一方、日本から新しい試験方法が提案されている。
主な提案
ISO16636
簡易実海域フィールド試験
ISO18957
実験室加速海洋生分解試験
ISO23292
微生物量評価方法
簡易実海域試験では、フィルム試料を網に固定して海中や海底に設置し、潮汐や海水条件の影響を受けながら分解挙動を観察する方法が想定されている。
規格の位置
生分解評価の規格は、試験環境ごとに整理されている。
水系環境
・海水
・淡水
・汚泥
陸系環境
・土壌
・コンポスト
・埋立
海洋関連規格は2010年代以降急速に増加している。海洋プラスチック問題の拡大に伴い、生分解性材料の評価方法が国際規格として整備されつつある。
技術領域の性格
海洋生分解材料の研究は、材料設計と同時に評価規格の整備が重要になる領域である。
材料性能
・分子構造
・結晶構造
・酵素分解性
評価条件
・海水環境
・微生物量
・試験期間
これらの条件が規格として整理されることで、材料性能の比較が可能になる。
海洋生分解性材料の研究は、材料技術と標準化活動が並行して進む構造を持つ。