タイヤ循環と助成制度

2026-03-07

米国のタイヤリサイクル市場では、ELT(End of Life Tire)の用途拡大を目的とした州・連邦レベルの助成制度が存在する。TDA、RMA、成形品などの市場形成を進めるため、自治体・企業・研究機関が参加する仕組みが説明されたウェビナーの内容を整理。

ウェビナーの概要

Tire Recycling Foundation と US Tire Manufacturers Association が共同で開催したウェビナーでは、ELT市場拡大のための助成制度が議論された。テーマは「Funding the Future: Grant Opportunities to Scale End-of-Life Tire Markets」。

登壇者は州政府、コンサルタント、業界団体の関係者。
市場の技術そのものではなく、市場を拡大するための資金制度が中心テーマとなっていた。

議論の前提は次の状況。

・米国ではタイヤは大量にリサイクルされている
・しかしELTの発生量は市場を上回る
・用途市場を拡大しない限り循環は成立しない

このため、州政府が助成制度を使って市場形成を支援する構造が作られている。

 

州の助成制度の構造

ウェビナーでは州レベルの助成制度が紹介された。

代表例としてカリフォルニア州。

主なプログラム

・Tire Incentive Program
・Rubberized Pavement Grant
・Tire Derived Aggregate Grant

これらは

再生ゴム製品
ゴム改質舗装(RMA)
土木材料(TDA)

などの市場拡大を目的としている。

年間予算例

・TIP 約300万ドル
・Rubberized Pavement 約630万〜670万ドル
・TDA 約75万ドル

申請主体

・企業
・自治体
・研究機関
・NPO

助成は多くの場合

全額ではなく部分補助

であり、企業や自治体の自己負担が求められる。

 

市場形成の考え方

ウェビナーで繰り返し説明されていたのは

cleanup(処理)と market development(市場形成)

の違い。

初期段階

  • 不法投棄タイヤ
  • ストックパイル
  • 処理問題

ここでは回収・清掃が中心になる。

しかし長期的には
用途市場の形成が必要になる。

・Rubber Modified Asphalt
・Tire Derived Aggregate
・再生ゴム成形品

市場が成立すると

助成なしでも需要が成立する。

登壇者はこれをdemand pullと表現していた。

 

実証プロジェクトの例

いくつかの事例が紹介された。

再生ゴム成形製品

SafePath Products(カリフォルニア)

100%リサイクルタイヤゴムを使った
アクセシビリティ用製品。

・段差解消スロープ
・建築アクセス部材

 

ゴム改質舗装

カリフォルニア州 Calabasas の舗装比較。

数年後の調査

・RMA舗装 ひび割れなし
・通常舗装 クラック発生

長寿命舗装として紹介された。

 

TDA振動対策

鉄道線路下の振動吸収材。

住宅地に近い路線で
騒音・振動対策として使用。

約5400トンのタイヤを使用。

 

助成制度の目的

ウェビナーの結論は明確だった。

助成制度の目的は

産業補助ではなく市場形成

である。

登壇者の言葉

「最終的には補助なしで成立する市場を作る」

そのため

・公共機関
・企業
・大学
・施工会社

が共同でプロジェクトを進める。

この協働構造が

タイヤ循環経済の前提条件

として説明されていた。