Cleantech Spark: Tokyo登壇レポート 環境配慮型タイヤを社会実装するという挑戦
2025-12-10
先日、東京で開催された「Cleantech Spark: Tokyo」にて登壇の機会をいただきました。
クリーンテックという言葉が広く使われるようになった今、技術や理念だけでは語りきれない「事業として続けること」が、改めて問われる場だったように思います。
当日の登壇や対話を通じて感じたことを、簡単に書き留めておきます。
1. Cleantech Spark: Tokyoとは
先日、東京で開催された「Cleantech Spark: Tokyo」にて、登壇の機会をいただきました。本イベントは、クリーンテック領域におけるスタートアップ、研究者、投資家、事業会社が集い、技術と事業の両面から持続可能な社会の実現を議論する場として企画されたものです。
単なる技術紹介やピッチに留まらず、「どのように社会実装するか」「産業として成立させるか」を軸にした議論が特徴的なイベントでした。
登壇テーマとお話しした内容
今回の登壇では、私たちが取り組む環境配慮型タイヤおよびその材料開発について紹介しました。主なテーマは、天然由来材料や副産物を活用した素材設計、タイヤ性能と環境負荷低減の両立、そして量産・事業化に向けた現実的な課題です。
従来は「高性能か、環境配慮か」という二項対立で語られがちでしたが、材料設計、用途設計、流通設計を一体で考えることで、その前提自体を見直す必要があることをお伝えしました。
2. 成熟産業に残された未解決課題
タイヤ産業は成熟しているように見える一方で、摩耗粉問題、原材料依存、脱炭素規制といった構造的な課題を抱えています。特に欧州を中心に進む環境規制は、今後すべてのモビリティ産業に影響を及ぼします。
私たちは、耐久性や摩耗特性を再設計することで、環境負荷低減を「付加価値」ではなく「基本性能」として組み込むことを目指しています。
参加者との対話から見えた視点
登壇後の質疑やネットワーキングでは、「それは事業として成立するのか」「既存産業とどう接続されるのか」という問いが多く寄せられました。クリーンテックは理念だけでは続かず、短期的な収益性だけでも成立しません。
技術、コスト、規模、規制を同時に満たす現実的な設計こそが、今求められていると強く感じました。
3.今後に向けて
Cleantech Spark: Tokyoは、技術を社会に実装することを本気で考える人々が集まる、非常に密度の高い場でした。今回の登壇で得られた議論や視点を、今後の研究開発や事業設計に確実に反映していきたいと考えています。
このような貴重な機会を提供してくださった主催者の皆さま、そして当日ご参加・ご意見をくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
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