清水港でタイヤの海洋生分解性調査を開始しました

2024-06-10

リッパー株式会社は、2024年6月から、清水港(静岡県静岡市)で海洋マイクロプラスチックの原因と言われているタイヤ粉じんの海洋生分解性を調査するプロジェクトを開始します。本調査は、実際にゴム試験片を清水港に半年以上沈め、その経過を観察するというもので、世界的にも前例の少ない先駆的な調査となります。

今回の調査は静岡市海洋産業クラスター協議会の協力を得て実施します。

背景

タイヤ業界は現在、海洋マイクロプラスチックの問題を抱えています。マイクロプラスチックは5㎜以下の微粒のプラスチックのことで、これが様々な経路を経て海洋に流出することにより海洋環境の負荷になっていると言われています。

この海洋マイクロプラスチックのうち、3割~7割がタイヤ由来であるという複数の調査結果もあり、EU議会は2028年からタイヤ粉じん規制を適用する方針です。(タイヤ排出規制について(タイヤからのマイクロプラスチック排出/タイヤ摩耗規制))。将来、他の国や地域でも検討が進んでいく可能性は高いと考えています。

このような業界を取り巻く状況のなかで、当社は、開発中のタイヤ補強材の海洋生分解性を調査することにいたしました。タイヤメーカーやユーザー、株主といったステークホルダーは機能性能と同様に環境性能も重視するようになっており、環境性能のひとつである海洋生分解性を調べてその結果を明示することで、ステークホルダーからさらなる信頼を得ることができると考えます。

目標とする成果

海洋生分解性の高いタイヤコンパウンドを試作・評価して、事業化につなげるために、最適なゴム配合を試作し、その海洋生分解性を評価します。ゴムコンパウンドは海洋生分解性と同時に、ゴムの基本性能およびタイヤ性能が必要になるため、その評価も合わせて行います。

海洋生分解性についてはその評価方法が確立していない新領域であるため、関係機関との連携の上実施いたします。検討結果については、実施機関・学会・業界団体などにフィードバックを行い、研究や産業の発展に貢献します。

概要

  • 試験期間:第1期:2024年6月10日から約6ヶ月間を予定
  • 場所:富士見埠頭岸壁 水域(静岡市清水区)
  • 試験方法:ゴム試験片を約6ヶ月間海中に浸漬。浸漬後の試験装置を回収し、分解性評価を実施
  • 成果発表:当社ウェブサイト、学会等で共有する予定

なお、試験に用いる生分解性プラスチックは環境中の微生物により水や二酸化炭素に分解されるため、分解物が周辺海域の生態系に悪影響を及ぼすことはありません。

静岡市海洋産業クラスター協議会について

静岡市海洋産業クラスター協議会は、海洋産業・水産業分野における新たなビジネスを創出するために2016年に設立された静岡市役所の組織です。今回の調査では、清水港内での実施運営に係るサポートをしていただいています。

ホームページ:http://miccs.jp/