AGVの発進時空転対策

2026-02-24

AGV発進時の空転発生条件を整理し、タイヤ設計と車体制御の両面から影響因子を記録する検討。

前提

・対象:屋内AGV
・床:エポキシ、塗床、コンクリート平滑面
・速度域:低速
・現象:発進瞬間のみ空転発生
・摩耗よりも発進安定性が優先条件

発進時は動摩擦へ遷移する前の「静摩擦限界」が支配。
必要条件は駆動トルク > μs × N × r

μs:静止摩擦係数
N:駆動輪荷重
r:タイヤ半径

空転はいずれかで発生。
・μs不足
・N不足
・r過大
・ピークトルク過大

原因

材料側

・PU硬度が高すぎる
・ヒステリシス不足
・表面が平滑すぎる
・接地圧分布が局所集中

幾何側

・タイヤ径が大きい
・幅が狭い
・接地長が短い

車体側

・駆動輪荷重が小さい
・後輪キャスター荷重過多
・重心が非駆動側に偏る

制御側

・起動時ピークトルクが高い
・電流リミット未設定
・スリップフィードバックなし

対応策

タイヤ側

・PU硬度を下げる
 高ヒステリシス寄り。初期μ上昇。摩耗増大傾向。

・浅い溝、微細サイプ
 初期せん断応答を作る。粉塵環境では逆効果の可能性。

・タイヤ小径化
 必要起動トルク低下。段差越え能力低下。発熱密度上昇。

・タイヤ幅拡大
 接地条件変化。接地圧低下。初期μ立ち上がり改善余地。

・加硫ゴムトレッド
 エポキシ床専用設計。高μ。摩耗前提の交換思想。

・TPS系TPE
 限定床材向け。耐久性評価未整理。

 

タイヤ以外

・車体重量増
 特に駆動輪荷重増加。N上昇で空転限界拡張。電費悪化。

・駆動輪増設
 2輪駆動から4輪駆動へ。駆動輪N合計増加。制御複雑化。

・起動トルク制限
 ソフトスタート。ピークトルク抑制。加速時間増加。

・スリップ制御
 すべり率フィードバック。トルク自動低減。センサ追加必要。

 

構造整理

短期対応

・起動トルク制限
・ソフトウェア制御

中期対応

・硬度最適化
・微細パターン設計

長期対応

・車体設計と荷重配分再設計
・床条件別タイヤライン分化

 

制約

・摩耗とμは逆相関傾向
・発熱とヒステリシスは相関
・床材差が支配的変数
・粉塵環境で溝は機能低下

 

検討観点

摩耗を許容して空転を止める設計か。
空転を一定許容し制御で抑える設計か。
床別専用化か汎用化か。
AGV用途では「摩耗量」より「壊れ方」と「発進安定性」が支配因子になる可能性。
評価指標再定義が必要かの検討。